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2021年5月 瓦土塀講習会その四“瓦粘土積み”

数年またぎで進行している『関東の粘土による瓦土塀講習会』ですが、いよいよ佳境に入って参りました。今回は“瓦粘土積み上げ”、まさに土塀講習会らしい内容です。土づくりから参加なさっている方には、これまでやってきた事が全て集約される手応えがあった事でしょう。それではその模様をお届け致します。

 

講習初日は爽やかな晴天。会場に行くと、長田講師と支部役員により前日までに設置された型枠・そして見本として積まれた三層の瓦粘土が待っていました。朝礼に続き遣り方の説明が始まります。左官のエキスパートでさえ滅多に経験しない50mという規模の瓦土塀。土塀といっても様々な工法がある中で長田講師が今回の為に考案してくれたのは型枠工法でした。瓦一層ごとに型枠を連結し、際を粘土で抑えてから中身を充填し、最後に型枠に縁を載せる様にして瓦を並べる。一層が終わったら瓦に次の型枠を載せて、手順を繰り返す。。土塀の構造・粘土の性質・数十人がかりの人数という条件を活かした、この講習会だからこその工法です。

 

粘土を積んだ一輪車が何台も行き交い、次々と枠内に粘土が流し込まれます。思ったより大量の粘土を使って型枠内を一杯にしてから、瓦を等間隔に整列させ、荷重に耐えられる様しっかりと粘土を載せます。これでようやく一層目が終了しましたが、これでも事前に型枠ができている状態での楽な工程でした。続く二層目は型枠の設置から始まるのですが、片面だけで50mに及ぶ型枠の設置は決して簡単なものではありませんでした。土塀の横面を揃える為の基準でもあるので何度も水平や勾配を調整し、土圧に負けない様に開き留めを取り付けていきます。この時初めて気付く腰積みの微妙な捩れ・数十メートルという距離によりどうしても出てくる水平のブレなど、次々と出てくる課題に或いは相談しながら、ある時は指示を仰ぎながら土塀造りは進んでいきます。

初日で試行錯誤しながらコツを掴み、二日目には流れに乗って勢いよく、三日目には想定外に粘土を消費したことで急遽検討し、一層下げた仕上がりにする事で危機を乗り切り。。昨年10月に練って以来ずっと寝かせていた粘土が、実に九ヶ月の時を経てここに形を成しました。

ここまで参加して下さった皆様お疲れ様です。あともう一歩です。

次回講習会はいよいよ大トリ、屋根仕上げ講習会の模様をお届け致します。

 

ライター : 神奈川県支部員 小谷大輔

 

 

 

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