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2020年10月4日 瓦土塀講習会その二“土づくり”

“関東の粘土による瓦土塀講習会”第二弾は湯河原で左官業を営んでおられる長田幸司氏を講師に迎えての土づくり講習会です。長田氏は各地の有形文化財修復に携わってきた左官のスペシャリストで、当会では過去にも2017年の“洗い出し研修会”でご指導頂きました。

 

前回練った粘土に砂利・藁・赤土を混ぜ、春までじっくり寝かせる事で壁土に仕上げるというのが今回の講習内容です。いつもの様に朝の受付と検温を済ませ、長田講師から土塀や土の扱い方について説明して頂きます。粘土と土の配合は事前に幾つかサンプルを作成し、経過を観察してから良い具合を決めて頂いたとの事でした。

全員で講習内容を意識共有し、土を併せる班と藁スサを刻む班に分かれて講習会のスタートです。先月の講習会で広げた荒木田土に赤土を満遍なく被せ、ダマをしっかり潰しながら念入りに混ぜ合わせます。力と根気の要る工程です。藁班は藁山との格闘。押し切りという刃物を使って5cm程に細かく刻んでいきます。ひたすら根気の要る工程です。

一面に赤土を敷き詰めたら刻んだ藁スサとビリ砂利を巻き、水を撒きながら踏み混ぜていきます。藁スサはやがて土の中で分解されてシリカ成分が溶け出し糊になってくれるのと、納豆菌が発生する事でカビの抑制に繋がります。ビリ砂利を混ぜるのは大きなひび割れが発生するのを防ぐ為、人目を引く場所に設ける土塀なので美観にも配慮しました。とはいえある程度のひび割れもまた土塀の醍醐味、この辺りの具合はお好みでという事ですね。

ある程度混ぜ合わせたら更に追加で藁すさを撒きます。藁の刻みに予想外に手間が掛かったのがちょっとした誤算かな?刻み終えた藁班も合流して一斉に踏み混ぜていきます。長靴を取られたり股下まで泥まみれになったり、こうなってくると大人も子供も変わりませんね。

代掻き前の田んぼの状態までよく混ぜ合わせたら、前回同様にシートを被せ、翌年3月の瓦粘土積み上げ講習会まで寝かせます。春以降の気温が高い時期であれば一ヶ月も寝かせれば発酵して良い土になりますが、コロナの影響で冬を挟んでの日程となった為半年近くじっくり寝かせる事にしました。疫病にも挫けない庭師たち。

これで今年の講習会は終了。神奈川で一同に会した庭師たちは各々の地元に戻り、これから一年で最も忙しい年末を迎えます。次に皆様とお会い出来るのは2月の腰積み講習会、その模様もこちらでお届けします。

史上稀に見る困難な一年の中、致し方無いとはいえ本来の講習日程を変更した事に合わせ、時間をやりくりして講習会に参加して下さった皆様、講師のみならず事前の打ち合わせからサンプル作成と我々の見えない部分で講習会に尽力して下さった長田幸司さん、本当にありがとうございました。

 

ライター : 神奈川県支部員 小谷大輔

 

 

 

 

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