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2021年4月 瓦土塀講習会その三“腰積み”

 

皆様ご無沙汰しております。

日本で最初の新型コロナウイルス感染者が確認されてから1年以上経ち、緊急事態宣言により昨年10月の土づくり講習会以来長らく休止していた瓦土塀講習会でしたが、先日ようやく再始動する事が出来ました。

今回は土塀の基礎である腰積みです。例によって(笑)雨に降られつつ、地元神奈川の名石である赤ボサ石を使って総延長50m・埋設含めて立ち上がり40cmの石積みを、40余人が2日間・下準備を入れて三日間で仕上げました。手で持ち上がる大きさを2・3石、大きめの石なら1石で積み上がる様な低い石積みですが、言い換えれば逃げの余地が無く、石選びからしっかり見極めて取り組まなくてはならない難しい高さとも言えます。

初日は神奈川県支部員のみ集まって下準備をしました。土手の上で数十人が仕事出来る様に現場を整え、石積みの為の遣り方を出し、屋根を支える為の柱を立てていきます。翌日からの本番に備えての下仕事ではありますが、ものづくりの仕事は見えなくなる所が一番肝心・この一日が案外と貴重な時間だったりもします。昨年の講習会で練り合わせた泥も良い感じになっています。

しっかりと準備を終えて翌日、やはり雨の降る中久しぶりに全国から庭師達が集まってきました。例によって検温を済ませ、現場を見ながら今回の石積みについての打ち合わせを行います。工法はモルタルを使わない“空積み”。石を確実に噛み合わせながら積み上げて後ろに砕石を突き込んで安定させる積み方で、熟練者が積めばコンクリート擁壁以上の強度と耐久性を発揮しますがそれだけに難しい工法とも言えます。初心者から熟練者まで、力量も好みも違う者達が横一列に並び、いよいよ腰積みが始まりました。

ある場所には助け合いながら大きな石を据え、またある場所では危なっかしい積み方を教えられながら手直しし、進みの早い箇所もあれば熟考しながら進めているところもあり、あちこちに異なる個性を発揮しながら石積みが立ち上がってくる様はさながら50mの絵巻物を見ているかのように。

初日の終盤で一部型枠の打ち間違いが発覚し、やり直す箇所が出てきたりもしましたがそれも大勢でやる講習会の醍醐味、より意識を共有する事で次はさらに良い講習会に出来る可能性といっても良いでしょう。

続く二日目は打って変わって快晴。前日のアクシデントを乗り越えて天端を据え切り、しっかりと砕石を打ち込み整地を仕上げました。手前味噌になっちゃいますが完成した様はこれがなんとも壮観!実地でご覧頂かないと伝わりにくいところですが、50mって歩いてみると長いです(笑)。

コロナを乗り越えてだんだん形が立ち上がってきました。間を置いての次はいわばメインイベント、瓦と粘土の積み上げ工程に入ります。

 

ライター : 神奈川県支部員 小谷大輔

 

 

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